*以下は、2018年6月5日に開催された「人工知能学会倫理委員会企画セッション」で、武田新委員長がされた挨拶の書き起こしを元にした文章です。
2代目倫理委員長 武田英明(国立情報学研究所)
国立情報学研究所の武田英明です。2018年6月から倫理委員会の委員長になりました。
私自身、2014年に人工知能学会において倫理委員会が立ち上がった時から関わっておりますが、正直、当初は倫理について全く問題意識はありませんでした。むしろ、そういう問題には触らないほうがいいと思っていたくらいでした。
しかし、松尾委員長をはじめ倫理委員の皆さんと一緒に議論をしていくうちに、これは研究者にとって明らかに重要な問題だと気づくようになりました。社会と学会が離れたままではいられない、あるいは研究者と社会は離れたままではいられないのです。
これまで人工知能の研究者は自分たちの研究が社会との関連があるということは深く考えてこなかったと思います。自分の研究上興味のみで研究をやっていればいい、自分の研究はたいして社会に影響を与えないと、そのように考えていたと思います。
しかし今は違います。自分が作った技術が、もしかしたら社会にものすごい影響を与えるかもしれない、そこまで考えを巡らせる立場に学会も研究者もいなければいけません。これは研究者としても大きな問題です。自分たちの研究だけではなく様々な社会のことに思いを巡らせなければならないからです。今日のテーマであった安全保障も、私たち研究者は誰一人として無関係ではいられないテーマです。
倫理委員と過ごしてきた中で、私自身も勉強をしてそれを自覚しました。これからも倫理委員会は活動をしていくわけですが、具体的な活動は委員の皆さんと議論しながら進めていきたいと思っています、学会員、また学会員以外の皆様からもご意見を頂きたいと思っていますので、これからも倫理委員会をご支援いただけたらと思います。